
「歯の本数」が寿命を左右する!?健康長寿のカギは“自分の歯”だった!歯と寿命の関係性と今日から始められる歯を守る習慣を紹介
Column
コラムこんにちは。
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の國竹です。
今回のコラムは「歯の本数と寿命の関係」についてお話ししたいと思います。
みなさんは、歯の本数がその人の健康寿命や生活の質に大きく影響していることをご存知でしょうか?
永久歯(大人の歯)は親知らずを除くと28本あります。
もし親知らずが4本全て生えていれば32本になりますが、もともと親知らずがない方やもともと永久歯が足りないこともあります。
標準的には28本と考えるのが一般的で、これらの歯が揃っていることで食べ物をしっかりと噛み砕き、発音を助け、顔の形を保つ役割を果たしています。
健康な永久歯の寿命は平均して50〜65年とされていて、特に60歳を超えると歯を失う本数が増える傾向にあります。
ですが、「年をとったら歯が抜ける」のは自然現象ではなく、歯が抜ける主な原因は虫歯と歯周病です。
特に歯周病は30代からじわじわ進行し、50代以降で一気に歯を失う人が増えてきます。つまり、加齢そのものよりも「長年の口腔ケアの差」が、年齢とともに表れてくるのです。
歯を失ってしまうと、栄養不足や全身疾患のリスク、QOLの低下、発音障害、フレイル(虚弱)や認知機能低下などさまざまなリスクが高まります。
また歯の本数が少ない人ほど、食事内容が偏りやすく、栄養状態が悪化しやすいことが分かっています。
たとえば
・野菜や肉など、よく噛む食品を避けてしまう
・柔らかいものや炭水化物中心の食事になる
・タンパク質・ビタミン・ミネラルが不足する
といったことが起きます。
こうした栄養の偏りが、筋肉量の低下(サルコペニア)や免疫力の低下、生活習慣病のリスク増加につながり、結果的に全身の健康や寿命に影響するのです。
1本あたりの歯の価値について考えたことはありますか?
日本人が考える歯1本あたりの価値は約35万円(口の中全部(28本)で980万円)
歯科医療従事者が思う歯の価値は約104万円(28本で2912万円)
アメリカ人が思う歯の価値は約500万円(28本で1億4000万円)
日本人が考える歯の価値より約14倍の価値をアメリカでは1本の歯に見出しています。
歯を守る意識の高い歯科先進国では、定期検診・クリーニングを、受ける割合が非常に高いため残存指数も日本に比べてはるかに多いことがわかっています。
また日本では保険診療が充実しているため、「痛くなったから歯医者に行く」という受動的な文化がまだ根強くあります。
海外では保険がきかず治療費は高額であるため歯は「健康資産」「社会的資本」とされています。
また「歯が汚れている=自己管理ができていない」という評価につながるため歯を失うと仕事や人間関係の信用をも失うとされていると言われています。
日本歯科医師会と厚生労働省は、「80歳で20本以上の自分の歯を保とう」という「8020(ハチマル・ニイマル)運動」を推進しています。20本あれば、ほとんどの食べ物を不自由なく噛むことができ、健康な食生活を維持できるとされるからです。
実際の調査では、80歳で20本以上の歯が残っている人は、平均寿命が同年代より7〜8年長いことが分かっています。一方、10本未満しか残っていない人は、要介護になるリスクが約2倍高まるとも報告されています。
では、健康寿命を延ばすために、今からできることは何でしょうか?
ポイントは3つです。
基本中の基本ですが、最も大切なのが歯磨きです。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスも併用することで、歯と歯の間や歯ぐきの境目に潜むプラークをしっかり除去できます。
自分では磨けているつもりでも、どうしても磨き残しは生じます。
歯科医院での定期検診やPMTC(プロによるクリーニング)を受けることで、虫歯・歯周病の早期発見・予防ができます。
「痛くなってから行く」のではなく、「悪くなる前に行く」ことが、歯を長持ちさせるコツです。
柔らかいものばかり食べると、噛む力が衰えます。
適度に噛みごたえのある食材(野菜、ナッツ、小魚など)を意識的に取り入れましょう。
よく噛むことで唾液の分泌が促進され、虫歯・歯周病の予防にもつながります。
今回のコラムでは歯の本数と寿命の関係や歯の価値についてお話ししました。
歯の本数は、単なる“口の中の問題”ではなく、全身の健康や寿命に直結する大切な要素です。
しっかり噛める歯を保つことで、栄養がきちんと摂れ、体力や免疫力の維持にもつながります。
もし今、「少し歯が揺れる」「噛みにくい」「歯ぐきが腫れる」などの症状があれば、放置せずお気軽にご相談ください☺️
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会