歯科衛生士が紹介!虫歯菌の「酸」に負けない、強くて丈夫な【歯】をつくるために摂りたい栄養素と食材ガイド
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酸で歯が溶ける「酸蝕症」に要注意!あなたの歯を守るためのポイントを知ろう
2024.4.26 歯と健康こんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の井尾です。
先日お昼休みにオアシス21でやっている「SOCIAL TOWER MARKET」へお散歩がてら行ってきました!近いのでふらっと遊びにいけるのが嬉しい、、、♡(ちなみにその前の週にはパンマルシェというイベントもあったのでスタッフみんなで行きました)
4月ということもあってお花屋さんがたくさん出店していました。私は花瓶とお花をお迎えしてきました。(散歩がてらでしっかり買い物しました)午後のお仕事も頑張れました。5月18.19日にも開催されるので気になる方は是非行ってみて下さい。
さて話は変わりますが皆さんは、酸蝕症(さんしょくしょう)をご存知でしょうか。 酸蝕症は近年、4人に1人と増えており、歯周病や虫歯についで第三の歯科疾患として注目されています!
本日は、そんな酸蝕症についてお話していきます。
酸蝕症とは
簡単に言うと「酸によって歯が溶ける病気」です。 歯の表面を覆っているエナメル質は、リン酸カルシウムでできている人体で最も硬い組織ですが、強い酸に触れると化学反応を起こして分解し、溶けてしまいます。エナメル質は酸に弱いという弱点があるのです。
酸蝕症の原因
1、内因性の酸蝕症
内因性の酸蝕症は、主に胃酸が逆流してくることによって生じます。例えば、過食症や拒食症で嘔吐する機会が多いと胃酸がお口を経由して郊外へと出ていきます。その際に、酸性の刺激にさらされてエナメル質が溶かされます。
2、外因性の酸蝕症
外因性の酸蝕症は、酸性度の高い飲み物や食べ物を習慣的に摂取することが主な原因です。
歯が溶ける強さは「pH」が影響
小学校や中学校の理科の授業で、pH(ピーエイチ)という言葉を聞いたことがありますよね? pHとは水の性質を示す単位の一つです。 pHは0~14段階あり、pH7を中性とし、7より小さい場合は酸性、大きい場合はアルカリ性となります。歯のミネラル成分が溶けることを脱灰(だっかい)といいます。脱灰は酸のpHで大きく変わります。 (晒されている時間が2分以内であればほとんど溶け出すことはないと研究によって報告されています) pHが1違うと溶ける度合いが10倍ほど変わります。そのため1ぐらい違っても大丈夫だろう、、 と考えないようにして下さい。
酸性の飲食物
お口の中は、普段は中性です。歯のエナメル質はpH5.5よりも低いと溶け始めます。ですがpH4.0 よりも大きい数値は侵食性が低いと結論付けられています。なのでpH4.0より小さいものが酸蝕 症のリスクが高くなります。 炭酸ジュースは、なんとなく歯に良くない感じは分かりますよね。その通りでコーラはpH2.2と酸性度の強い飲み物です。 そして、スポーツドリンクが盲点となりやすいです。スポーツドリンクはミネラルも同時に摂取で きるため、夏場の水分補給には最適な飲み物といえます。けれど、スポーツドリンクには大量の砂糖が含まれているだけでなく、酸性度も比較的高いことから、飲む度に虫歯ならず酸蝕症なリスクが高まるのです。意外な酸性の飲食物として紅茶やサラダドレッシングもお酢やレモン果汁が入っている場合は酸性が高くなります。
ちなみに炭酸水は弱酸性(pH5.65)です。実は歯を溶かす原因は炭酸ではなくクエン酸(レモン果汁 に多い)やリン酸、乳酸、アスコルビン酸(ビタミンC)などの酸味料です。
酸蝕症の主な症状
1、エナメル質が溶ける
この現象自体は虫歯と変わらないのですが、歯の溶け出し方に違いがみられます。一般的な虫歯は直径1~2mmくらいの狭い範囲からエナメル質が溶け出しますが、酸蝕症はその範囲が比較的に広いです。歯の表面全体が溶け出していくことも珍しくはありません。
2、象牙質が剥き出しになる
これも虫歯と同じ現象ではありますが、酸蝕症の場合は範囲が広いため、露出する象牙質も多く なり、歯全体が黄色く(象牙質は黄色味が強い)見えるようになります。
3、知覚過敏になる
象牙質には歯の神経の一部分が入り込んでいます。冷たいものや熱いものを口にすると神経が反応して歯がしみるようになります。また、象牙質はエナメル質ほど強くはなく、酸に対する抵抗力も弱いため、虫歯のリスクが大きく上昇するのでご注意ください。
幼児や高齢者は特に要注意
幼児のお口の中は、乳歯や生えてる最中の大人の歯(永久歯)や生えたばかりの大人の歯が混ざっていて、成人の大人の歯と比べてまだ柔らかく、酸に弱くなっています。
高齢者の場合には、歯周病で歯ぐきが下がっていて根っこが見えていたり、長年のすり減りで象牙質が出ている場合があります。先ほどお伝えしたように象牙質は、エナメル質よりも弱いため注意が必要です。
酸蝕症の予防
1、酸性の飲食物を摂ったらうがい
とりすぎに注意をするのはもちろんですが、適量食べた(飲んだ)場合でも口をゆすぐことをおすすめします。
また、少量であっても長時間口の中に入れないようにしましょう。
2、よく噛んで食べる
食べ物をよく噛むと唾液が分泌されます。唾液中のミネラルは酸を中和する作用があるため酸蝕症の予防に効果的です。
3、ダラダラ食いをしない
ダラダラと間食をしていると、唾液中のミネラルは酸を中和する作用が追いつかず、新しい酸が増えてしまいます。また、スポーツをしながらのスポーツドリンクを飲むのも歯のことを考えれば NGです。
まとめ
先進国では酸性飲食物を摂取する習慣は定着しているため、全てを歯のためにやめると生活が楽しめなくなってしまいます。
今たくさん摂取している方は、少し量を少なくしたり、摂取する時間帯や週に1回にするなどルールを決めて上手に付き合っていくことをおすすめします。もしかして酸蝕症かもと思った方、しみるなどの症状がある方はできるだけ早く歯科医院を受診しましょう。対処が遅くなってしまうと虫歯などの病気が誘発されてしまいます。デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科では、初診時に3Dスキャナーにて撮ったお口の中を診てもらいます。虫歯や酸蝕症などの病気も実際に目で見て確認してもらいます。心配な方はお気軽にご相談下さい。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会