
歯ぐきが下がってきたら虫歯に要注意!歯ぐきとの関係性が深い【根面う蝕】を解説!かかりやすい特徴・危険性・予防法を知って対策しよう
Column
コラムこんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の國竹です。
今回は歯の根っこにできる「根面う蝕」という虫歯についてお話ししていきます。
根面う蝕は歯茎が健康な子どもや若い世代より中年や高齢者の方がなりやすいため、大人の虫歯とも呼ばれています。
根面う蝕とは、歯の根っこの部分にできる虫歯のことです。
加齢や歯周病によって歯茎が下がると、本来は歯茎に覆われていたはずの歯の根っこの部分が露出します。
歯の表面はエナメル質という身体の中で1番硬い組織で形成されていますが、歯の根っこの部分はエナメル質がなくエナメル質より柔らかい象牙質という組織で形成されています。そのため酸に溶けやすく虫歯になりやすいという特徴があり、それだけでなく虫歯の進行も早いといわれています。
エナメル質は、成分の大半がハイドロキシアパタイトと呼ばれる無機質から構成されており非常に硬くて丈夫な組織です。
象牙質にもハイドロキシアパタイトは含まれますが、エナメル質より少なく残りはコラーゲンなどの有機成分で構成されているため、外からの刺激に弱い性質を持っています。
エナメル質も象牙質も、虫歯が産生する「酸」によって歯が溶かされ、虫歯が進行していきます。
この酸に対して脂質が溶ける反応を「脱灰」とよび、脱灰のしやすさは「臨界pH」という指標で表されます。
エナメル質の臨界pHは5.5〜5.7で、象牙質は6.0〜6.7となっており、エナメル質の方が酸性に傾いていることがわかります。ですから、6.0という刺激が加わると、象牙質は溶けてしまいますがエナメル質は溶けずにそのままの形を維持することができるといえます。
歯周病が進行すると歯茎がさがり、歯根が露出してしまいます。露出した歯根部のケアがきちんと行われていないと根面う蝕のリスクが高くなります。
歯茎はみなさんの想像以上にデリケートな歯周組織です。毎日の歯磨きをゴシゴシと強い力で行うと、少しずつではありますが歯茎が削れてしまい歯根部分が露出して根面う蝕になりやすくなってしまいます。
歯ぎしりや食いしばりは通常の噛む力より大きな負担が歯や歯茎、そのほかの歯周組織にかかります。
そのため普段から歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は歯槽骨(歯を支える骨)の吸収や、歯肉退縮(歯茎が下がる)を起こす原因になり、根面う蝕になるリスクが高くなります。
上記のような特別な問題がない場合であっても年齢を重ねるにつれて、筋肉などの組織と同じように歯茎や歯槽骨も衰えていくため歯茎が少しずつ下がってきます。
加齢によって歯茎が下がり、歯根面が露出することで根面う蝕になりやすくなってしまいます。
唾液の分泌が低下することでお口の中が乾燥している症状のことを「ドライマウス」といいます。
ドライマウスは高齢になるほど患者数が増える傾向が見られます。加齢によって唾液を分泌する機能が低下するということももちろんですが、服用中の薬の副作用やストレス、緊張による交感神経の刺激、糖尿病や甲状腺機能障害などの全身疾患が影響している場合もあります。
根面う蝕は一度発生すると広範囲に広がることが多く、時には歯の周りをぐるっと囲む「環状う蝕」になることもあります。
そして根面う蝕は痛みを感じにくく、唇で隠れる位置にできるので鏡でも見にくく虫歯になっていることに気づかないまま進行しているケースも多いです。
食べ物を噛む面にできた虫歯は、詰め物や被せ物を入れることができますが根面う蝕はそのような対応が難しくなります。
また、歯の根の深くに虫歯が広がっている場合虫歯を残らず除去しようとすると歯が折れてしまう可能性が高いです。
歯の根っこ部分は歯ブラシが届きにくい場所なので、磨き残しが多くなりがちです。
また唇に隠れている位置になるので、当てているつもりでも当たっていないということがよくあります。
①定期的な歯科医院での検診
②歯磨きをしっかり行い、特に歯肉の退縮が気になる部分は念入りにブラッシングを行う。
※硬い歯ブラシが好みの方や、力を入れて磨く習慣がある方はブラッシング圧で少しずつ削れてしまいます。
ブラッシング圧に注意して優しい力で磨きましょう。
③フッ素入りの歯磨き粉を使用する。
④口腔内を乾燥させないように水分を摂取する。
前項でお話ししたように高齢になるにつれて、唾液の分泌量も減る傾向にあり、服用薬(降圧剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬)の副作用によっても唾液量が減少することがあります。
近年では高齢者の残存歯数(残っている歯の数)は増加傾向にあり、それに伴い根面う蝕も多くなっています。
根面う蝕は高齢者に多く見られる問題ですが、若い人でも歯周病や不適切なブラッシングが原因で発症することがあります。
定期検診や正しいセルフケアを心がけましょう。
今回は根面う蝕についてまとめてみました。高齢者がなるイメージがありますが、歯周病や噛み合わせによっては若年層の方でもなり得る虫歯です。
担当制で行なっているメンテナンスでは歯石を取るだけでなく、その方がブラッシングするのが苦手な場所や歯ブラシの当て方など詳しくお伝えするようにしています✨
プラークフリーで虫歯ゼロのお口目指して日々のお手入れをしていきましょう!
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会