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口呼吸は万病の元!口呼吸が引き起こすリスクと鼻呼吸で得られる健康メリット
2023.6.22 歯と健康こんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の井尾です。
皆さんは自分が鼻で呼吸(鼻呼吸)をしているのか口で呼吸(口呼吸)をしているのか分かりますか?
口は消化気管であって呼吸器官ではありません。本来の呼吸器官は鼻、喉、肺です。
通常、お口を閉じ鼻呼吸をし、舌は上の前歯の裏側にあるやや隆起した所でスポットと呼ばれる位置にいないといけないのですが、お口を開けたままだと下あごや舌が重力で奥の方に下がり、気道を圧迫、閉鎖することで、様々なリスクをともないます。
鼻呼吸を前提に人間はできているので、口呼吸が習慣化すると身体には何らかの不調やトラブルがでてしまいます。
本日は口呼吸を続けることで生じる弊害についてを口呼吸と鼻呼吸の違いを含め、お話しさせていただきたいと思います。
健康の基本は鼻呼吸
鼻水は1日に約1ℓも分泌されています。そのうちの約7割は、鼻を通る空気を加湿するのに利用されています。しかし、口呼吸ではこれほど湿度をあげることができないため口腔内が乾燥し、唇もカサカサになってしまいます。
鼻は空気をきれいにする働きも持っています。
呼吸で吸い込んだ空気中に含まれるウイルスや病原菌、アレルギー物質などを鼻毛や鼻粘膜に生えている線毛と粘液層が捕獲します。フィルターの役割です。
つまり鼻から入った空気はこれら異物の多くが除去されます。また、粘液には抗体があるため、細菌やウイルスが粘膜の細胞に付着したり侵入するのを防ぎます。風邪やインフルエンザは、病原体が細胞内や粘膜で増殖することで発症するため、鼻から入った空気は口から入る空気よりも感染症にかかるリスクが少なくなるのです。
また、鼻から呼吸することで空気が温められます。その温度は35〜37度にもなります。口呼吸はここまで温められることなく、冷たいまま肺に届けられてしまいます。それにより、肺の免疫力が低下するリスクにつながったり肺にかかる負担が大きくなってしまいます。
このように鼻には加湿機能、空気清浄機能、温度調節機能を兼ね備えており、健康のためには鼻呼吸が重要になるのです。
口呼吸は感染症にかかりやすい
上記でお話ししたように鼻には様々な機能がありますが、口にはそれほどの働きはありません。空気中に含まれるウイルスや病原体が直接気道に入るため、風邪を引きやすかったり、インフルエンザやコロナなどの感染症にかかりやすくなってしまいます。
さらには、歯周病や虫歯にもなりやすくなります。これは口呼吸によって口腔内が乾燥し唾液の量が減ってしまうからです。唾液には口腔内を健康に保つための様々な良い役割があるため、唾液の量が減ってしまうと病気を起こしやすくなってしまいます。
ほかにもハウスダスト、ダニや花粉などのアレルギー源が入りやすく花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息などが治りにくいとも言われています。
子どもの口呼吸によるリスク
子どもの頃から口呼吸が当たり前になってしまっていると、様々なリスクがでてきます。
口呼吸の場合、歯並びが悪くなる可能性があります。口を開けている時間が長くなるために、口の周りの筋肉による前歯を内側に押さえる作用が弱くなり、歯が唇側に倒れ出っ歯になるリスクが高まります。これは永久歯にもいえます。
ほかにも口の筋力の低下により、顔や首がたるんだ老け顔になったり、下あごが前下方に成長し面長な顔立ちになることがあったりと顔の形の成長にも影響がでてくることがあります。
また、咀嚼機能も低下します。それにより嚥下障害や消化障害も引き起こしかねません。咀嚼時も唇があいているため、クチャクチャと音を立てて食事をしてしまいます。
口呼吸と睡眠時無呼吸症候群との関係
起きている時に口呼吸が癖になっていると、睡眠中にも口呼吸をしがちになります。
口呼吸の場合、鼻呼吸に比べて鼻から咽頭までの上気道が閉塞しやすくなります。また、口呼吸ではいびきをかきやすくなります。睡眠時のいびきは無呼吸発作を呼び寄せ、脳を低酸素状態へと促します。無呼吸状態が一定以上続くと、睡眠時無呼吸症候群を発症するため、日中の慢性的な眠気や倦怠感を抱いてしまうことになります。
脳が低酸素状態により、集中力の低下や学習能力の低下、身体全体の低酸素状態により運動能力の低下など発育にも影響を及ぼしかねません。
口呼吸を鼻呼吸に改善する方法
鼻呼吸を意識的にさせることで口が閉じる時間が長くなり、口周りの筋肉を鍛えられます。
また鼻呼吸へと移行させるための「鼻呼吸テープ」といったものがドラッグストアなどで売られていますので寝る時に口に貼って閉じることで、鼻呼吸への移行を促します。
また、「鼻腔拡張テープ」というのもあり、こちらも鼻呼吸への移行に有効です。
お口の簡単な体操で口周りの筋肉を鍛えて舌の位置も正しい位置にします。以下の体操10回を1セットとし、1日3セットを継続するのを目標にして下さい。
①「あー」と口を大きく開けます
②「いー」と口を横に大きく開けます
③「うー」と口をすぼめてできるだけ前に突き出します。
④「べー」と舌をできるだけ下へ伸ばします。
声は出さなくても大丈夫です!
口呼吸は、万病のもとです。
今回ご紹介した口呼吸の治し方を参考に、ぜひ正常な鼻呼吸にもっていってくださいね。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会