9つの年代別、歯周病予防のポイントを解説!口腔内・身体・生活習慣の変化の特徴とリスクを知って生涯自分の歯で過ごそう
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日本人が7割も経験する「歯ぎしり」に潜む危険性とは
2023.6.29 歯と健康こんにちは。デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の井尾です。
歯ぎしりは実は日本人の70%が経験しているんです。
本日は、実は無自覚でたくさんの方が経験している歯ぎしりについてお話ししていこうと思います。
歯ぎしりの種類
①グライディング
上下の歯を左右に擦り合わせる歯ぎしりです。就寝中に起こりやすく、「ギリギリ」という音がなる特徴があります。無意識に動かしている人がほとんどで、最も多くの人に見られます。
②タッピング
下の顎を上下に垂直に動かして上下の歯をぶつけ合わせ、「カチカチ」といった音がなる特徴があります。歯をぶつけ合わせる強弱は個人差があり、強くぶつける人から弱い人まで様々です。
③クレンチング
上下の歯をギューッと強く噛み締めるいわゆる食いしばりです。クレンチングは就寝中だけでなく、日常生活(仕事やスポーツの時など)の中で歯を食いしばる状態が習慣化している方に多くみられます。
人は1日で食事や話す事で上下を噛み合わせることは必然的に行なっているが実際に噛み合っている時間は実質わずか5分から長くても20分程度といわれています。クレンチングがある人はこの20分の時間が大幅に増え、さらに強い力が加えられていることになります。
特に起床時にはこわばりや疲労感を感じてしまう方もいます。このタイプは歯の違和感だけでなく、肩こりや頭痛、ストレスを感じやすいといった特徴があります。
④ナッシング
歯の特定部分で擦り合わせ、就寝中に起こり、「キリキリ」「キシキシ」と軋む音がする特徴があります。特定部分で擦り合わせるため、歯の一部分だけが徐々にすり減ってきます。
以上の4つが歯ぎしりの種類です。
歯ぎしりはどれか1つをしているものではなく、人によっては複数の歯ぎしりをしていることがあり種類が特定しにくいこともあります。
歯ぎしりチェック
- 朝起きた時に顎が痛い、または疲れている。
- 朝起きた時に奥歯が痛い。
- 慢性的な頭痛、肩こりがある。
- 歯が欠けたり、割れたりしたことがある。
- 頬の内側に噛んだ跡がある(横に線がある)。
- 舌の横に凹み(歯を押し付けた跡)がある。
- 下顎の内側に丸くでっぱった硬い隆起(骨)がある。
- 上顎の真ん中、上顎の頬側にでっぱった硬い隆起がある。
- 虫歯でもないのに歯がしみる。
- 歯の根元が削れている。
- 歯がすり減って短くなっている。
- 人から言われたことがある。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりの原因ははっきりとは断定されていませんが下記のような要因が考えられるとされています。
①ストレス
最も有力なのがストレスです。肩こりなどと同じようにストレスによる筋の緊張によって口の周りの噛む筋肉が張ってコリを生じ、歯ぎしりが起こる。
②歯並び
歯並びが悪くても噛み合わせが安定せず、ある特定の歯だけが強く当たっていたり、低かったりするとしっかり噛めないので脳が噛む力をさらに強くしようとします。そうして歯ぎしりの力がどんどん増大していくという考えがあります。
③飲酒、喫煙、カフェイン摂取
歯ぎしりは眠りが浅い時に起こりやすいので就寝前に興奮作用があるお酒やタバコ、コーヒーなどのカフェインを含むものを摂取することで起こり得ます。
④日中の噛み締めぐせ
日中の噛み締めなど無意識に行なっている癖が夜寝ている時にでてしまうこともあります。日中の食いしばりや上下の歯を当てる癖がある人は筋肉が記憶していて、寝てる間も行ってしまいます。
⑤顎関節の形態変化
年齢と共に顎の関節はすり減り、関節が平らになってきます。その形に合わせて歯の形も変化させるために歯ぎしりをしている可能性も指摘されています。
歯ぎしりによって起こる影響とは
①歯がすり減る、割れる
寝ている間に起こる歯ぎしりは、通常の食事などで行う咀嚼時とは違い、体重の2倍〜5倍の力が加わるといわれています。
歯と歯が必要以上の力で擦り合うため、噛み合わせの凹凸が徐々に失われて咀嚼機能が低下するだけでなく、正しい噛み合わせの位置も分からなくなってしまいます。
②歯がしみる(知覚過敏)
歯がすり減ったり、ひびが入ったり、欠けたりすることで知覚過敏の原因となります。
③歯周病の悪化につながる
歯だけでなく歯を支える歯ぐきや顎の骨にも影響を及ぼします。強い力がかかるために歯が揺さぶられ、それにより歯を支えている骨が溶けていきます。
④顎への影響
顎の関節や筋肉にも負担がかかり、口が開きにくくなったり、顎の痛みを伴ったりする場合があります。
⑤体への影響
顎から頭へと繋がっている側頭筋が緊張して、頭痛や肩こりの原因になることがあります。また体のバランスが崩れて腰痛などを引き起こすこともあります。
歯ぎしりの改善方法
○日中は意識する
昼間の食いしばりは、無意識にやっていることが多いです。何かに集中している時(例えば料理中、運転中、仕事中など)に無意識に行います。こういう場合は、起きているときは意識があるので努めて噛まないように気を付けてみてください。
○就寝時のマウスピース装着
寝ている間は意識がないのでご自身では気をつけようがありません。患者様の歯列に合ったマウスピースを作製し、寝ている間の歯や顎の負担を減らします。
○飲酒、喫煙、嗜好品のコントロール
就寝前は興奮作用があるものはなるべく摂取しないようにコントロールをしてみてください。
○咬筋ボトックス
ボトックスを咬筋に注入して、一過性の筋肉麻痺を起こすことで、筋肉の可動域の制限を起こします。 効果は半年程度続き、噛む力が弱くなるため歯ぎしり、食いしばりの改善に用いられています。
○ストレス解消
ストレスの原因だと思われる事柄から距離をおいたり、考えすぎないようにしましょう。難しければオフタイムに好きなことをしてストレス発散をしてリフレッシュしてください。
歯ぎしりの背景には様々な原因があり、改善が難しい症状の1つです。
まずは、歯ぎしりにより歯や歯の周りの組織がダメージを受けてないか定期検診でチェックしてもらいましょう。
当院では3Dスキャナーで口腔内を撮影して患者様に見てもらいます。歯ぎしり、食いしばりによるすり減りやトラブルが起きている場所をお伝えしています。必要であればマウスピース作製も行っています。
歯ぎしり、食いしばりでお悩みの方は気軽にご相談ください。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会