痛くない虫歯もある!虫歯の【5つのステージ】を徹底解説~それぞれの痛み・治療法の違い~
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歯を残すよりも抜いた方がいいケースがある!?患者様の抜歯に関する疑問を解説
2023.7.11 歯科治療こんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の院長の坂本果歩です。
患者様からよく聞くお声があります。
「絶対に歯を抜きたくない」
「抜かずにこのまま残したい」
「どうしても抜かないといけないの?」
「痛みがないからこのままがいい」
「このまま様子をみたい」
などがあげられます。このお声は”抜歯“を告げた時です。
好き好んで抜きたいと思う患者様はいないと思います。もちろん私たちもそうです。多くの方は歯を抜くことに抵抗があると思います。歯科医師、歯科衛生士側も歯を残すことが仕事なので残念な気持ちです。
今回はどんな場合に抜歯が必要になるのかをお話ししていきます。
残すよりも抜いた方がいいケース
①虫歯が進行してしまった歯
虫歯が歯ぐきよりも下にまで及び根っこだけが残った歯は、歯の周りの歯ぐきの正常な構造が破壊されてしまいます。
そのまま放置すると、細菌に感染し、歯を支えている骨が溶ける、歯ぐきが激しく痛むといったさまざまなトラブルの原因となります。
骨に埋まっている根っこの長さによっては、歯ぐきに埋まっている部分を歯ぐきの外まで出す(エクストリュージョン)ことで抜歯をせずに治療することも可能なケースもあります。
②歯周病が進行してしまった歯
歯周病は歯を支えている骨が溶けていく病気です。
虫歯と違って歯そのものが悪くなるわけではないので「抜かなくてもいいんじゃ…」と思うかもしれませんが、歯が横にも縦にもグラグラしている場合は、周りの骨が根っこの先まで溶けてしまっているため保存が不可能となります。
重度の歯周病を「痛くないから」と言って放置してしまうと、問題のあるぐらつく歯だけでなく、周りの歯の骨にまで悪影響が及んでしまいます。
周りの歯を守るためにも重度に進行してしまった歯は抜かなければなりません。
当院では中等度、重度だからといってすぐ抜くという判断はしません。歯周病治療を行ってから残せる歯、残せない歯を判断します。治療後患者様の頑張りによっては、改善がみられることも多々あります。また歯周病の治療については今後お話しさせていただきますね!
③根っこが割れてしまった歯
歯の根っこの部分がわれてしまって細菌感染が起こった場合は、保存不可能です。
割れてしまった部分を起点として、周りの骨が細菌によってどんどん溶かされていきます。
骨の破壊を食い止めるためには、細菌感染を取り除くことが必要です。
④ヒビが入ったり、歯が割れてしまった(縦、横)
ヒビの深さや割れる方向によって、残せるものもありますが深くまで割れてしまったのもはそこから感染が起きたり、痛みがでてしまうので、抜く必要があります。
⑤根尖病巣(こんせんびょうそう)
根尖病巣とは歯の根っこの先端が病気になって、歯の根元に膿が溜まって炎症がおこることです。歯ぐきが腫れたり、痛みが出ることがあります。その間にはどんどん歯を支えている骨が溶けていきます。
治療を行っても、腫れを繰り返したり、病巣が広がる場合だったりと予後が悪い場合は抜く必要があります。
⑥他の歯に悪影響な親知らず
親知らずが上下で正常に生えて噛み合っている場合は、特に抜く必要はありません。
しかし正常に生えている場合でも、歯磨きが行き届かず、虫歯や歯周病に感染していることも多いのため、抜歯をすすめるケースもあります。
親知らずが原因で腫れたりや周りの歯に損傷を与えるような場合は、抜くことを考える必要があります。
⑦大人の歯が生えるのを邪魔している乳歯、大人の歯に悪影響を与える可能性のある乳歯
通常大人の歯が生え変わる際に、自然に抜けることが多いのですが、抜けずに残ってしまう場合もあります。
その場合は、歯並びや歯ぐきに悪影響を及ぼすために抜く必要があります。
乳歯でも神経を抜いて根っこの治療を行うことがありますが、感染すると根っこの周りの骨が溶けてきます。その際に下に埋まっている大人の歯に悪影響を及ぼすため、抜く必要があります。根っこの治療を行えないくらいの大きな虫歯になっている場合も同様です。
⑧過剰歯
過剰歯(かじょうし)とは、通常の本数よりも多く形成された余分な歯のことです。
生えてくる歯と、骨の中に埋まっている歯とがあります。
生えてきた歯は、歯並びや噛み合わせに影響するため抜く必要があります。
顎の骨に埋まっている歯は、生えている歯に悪影響を与えている場合には抜く必要があります。
特に他に影響がなく、埋まっている場合は無理して抜く必要はなくそのまま経過観察を行います。
⑨矯正治療のための抜歯
顎の骨が小さく、全ての歯を並べるスペースがない場合は、便宜的に歯を抜歯して歯の本数を減らしてから歯を並ぶようにする場合があります。
などが抜歯の必要なケースとなります。(例外もあります)
抜歯をする1番の理由はそのままにしておいたら良くないことが起こる、または将来リスクがあるからです。
その歯を置いとくことで、膿が大きくなったり、周りの骨が溶けたり、隣の歯に影響も及ぼすからです。
実際にあった話ですが、患者さんの希望で根っこに膿が溜まってる歯を抜きたくないと言われ、年月が経つとともに周りの骨が溶けてきました。その患者さんがやっと抜歯の決心をして、そこにインプラントをしたいと言いました。しかし、その歯をそのままにしていたため、骨がなくなり、骨の移植が必要となりすぐにはインプラントの治療を開始することができなく、インプラントが固定されるまでの時間もかかりました。早い段階で抜いていれば、治療費用も治療期間も少なくて済んだのではないかと悔やまれました。私たちは将来のリスク、抜くべき必要性をお話できますが、最終的な決断は患者様になります。
私たちがお話する内容は今までの経験や専門的な知識、統計からみた将来的なことになります。
抜かないと行けない歯を残しておくことはこれからの治療にも影響していきますので一緒にじっくり考えていけたらと思います。
将来、抜歯をした方がいいけど、ぎりぎりまで残しておく歯もあります。それは、大人の歯の数が足りなく、子供の歯が残ってるものです。10人に1人が先天欠如があると言われ大人の歯の数が足りません。
子供の歯は下から大人の歯が生えてこなくてもだんだん根っこが吸収していき、30代-40代くらいで歯が揺れてきて抜歯することになります。なので、こういう場合は、健康な状態の子供の歯であれば使えるまで使ってから抜歯をすることもあります。
例外として、矯正を考えてる方は子供の歯は近い将来だめになるので抜歯して矯正する場合もあります。
虫歯や歯周病は初期の段階では症状がなく、気づかないうちに進行していくために、歯科医院に定期的に通って予防をおこなうことが1番効果的です。
歯を残すことによる、メリットとデメリットをしっかり考え、治療を選択することが大切です。
将来、自分の歯をできるだけ多く残すためにはこの抜歯は必要なことなのか考える必要があります。
納得するためにセカンドオピニオンを行うことも有効だと思います。
お悩み、ご相談があればお気軽にお声掛けくださいね。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会