歯科衛生士が紹介!虫歯菌の「酸」に負けない、強くて丈夫な【歯】をつくるために摂りたい栄養素と食材ガイド
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歯科検診の重要性と無料歯科検診制度の紹介
2023.10.03 歯と健康こんにちは。
名古屋市中区栄駅から徒歩3分のデュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の受付の松井です。
歯科業界に勤めて5年。それ以前は販売等の接客業に従事していたこともあり、患者様のお出迎えとお見送りを大事にしております。
私は、歯科医師や歯科衛生士のように国家資格と技術を持ったスタッフではありませんし、専門知識も恥ずかしながら浅いと自覚しておりますのでまだまだ学ぶ毎日です。
しかし、だからこそ患者様に近い感覚でいられるとも思います。そんな私目線のコラムを楽しんでいただけると嬉しいです。
今日は「歯科健診」についてお届けいたします。
「歯科健診」の実態
「歯科健診」とは歯科健康診査の略で、歯の健康を確認することを意味します。
皆様が年に1回受診される健康診断の「歯」バージョンといったところでしょうか。
今現在、国で「歯科健診」が義務づけられているのは、1歳半と3歳の幼児、高校3年生までの全学年、有害な業務に従事する労働者(※)です。
そして、成人後の学生や、社会人になると会社や自治体によって検診の制度が異なり、有害な業務に従事する労働者の方以外は義務ではありませんので、自分の意志で受診する必要があります。
そのため、歯科検診の受診率はとても低く、症状が出てから歯科にかかる方が多数を占めています。このような歯科健診の受診の実態により、歯の健康に対する意識が高いとは言えないのが現状です。
※有害な業務に従事する労働者とは:塩酸・硝酸・硫酸・亜硫酸・フッ化水素・黄りん、その他、歯またはその支持組織に有害な物やガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者。
「歯科健診」を推進する理由
今後は「国民皆歯科健診(こくみんかいしかけんしん)」と言い、義務化されると話題になりましたが、なぜそこまでして「歯科検診」の受診を推進するのでしょうか。
それは、口腔内環境の不調と身体の不調は密接な関係があり、口腔内環境の悪化が及ぼす身体への影響が分かってきたからです。
まず、お口の中では、口腔内環境が悪化すると最終的には歯がなくなります。
歯がなくなる理由の原因は歯周病と虫歯に大きく分かれますが、ほとんどが歯周病によって失われています。歯周病の原因菌である「歯周病菌」という細菌が口腔内で炎症を起こすと、歯を支える土台である骨や歯茎の機能を低下させ健康な歯を保てなくなりいずれ失う結果となるのです。
次に、身体への影響についてですが、「歯周病菌」は血管に入って炎症を起こすことも確認されており、血管は全身をめぐっているため全身にわたる病気を悪化させてしまうのです。
具体的には、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病・誤嚥性肺炎・心内膜炎・骨粗鬆症・関節炎・腎炎・菌血症・敗血症・生活習慣病・アルツハイマー型認知症・低体重児出産・早産など、様々な影響を及ぼすことが分かってきました。
「歯周病菌」の他にも、噛み合わせの悪さから身体が歪んでしまい血行が悪くなり、肩こり・偏頭痛・耳の不調・手足のしびれにつながるケースもあり、原因不明の不調の原因は噛み合わせだということも少なくありません。
また、医療費の観点からみても、歯が多く残っている人は歯を失った人と比べて、歯科以外も含めた医療費が低いことも分かってきました。
定期的な「歯科検診」には時間と自己負担の費用は必要ですが、人生の観点から考えると、わずかな時間と自己負担です。
後まわしにすることで知らないうちに悪化・進行してしまい、治療にかかる時間と費用がどんどん大きくなっていくかもしれません。
このように、お口だけではなく身体全体の健康に関わるという観点が重要視されるようになりました。
定期的な「歯科健診」が病気の予防や悪化を防ぐ第一歩、また、健やかな人生に繋がると言えるでしょう。
無料で受けられる「歯科健診」制度のご紹介
当院のある名古屋市には無料で受診可能な歯科健診の制度があることをご存じでしょうか。
「歯周疾患検診」と「妊産婦歯科診査」の2種類です。当院でも行っておりますので、詳細についてご紹介いたします。
なお、名古屋市以外にお住まいの方は、ご自身がお住まいの地域に歯科健診制度がある自治体もございますので、お調べいただくと良いかもしれません。
「歯周疾患検診」
食べる楽しみを維持し歯の喪失を予防するため、節目の年齢を捉えて歯科検診を呼びかけています。
・対象者
4月1日時点で20歳・25歳・30歳・35歳・40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳・75歳・80歳の名古屋市市民。
対象者の方には、市より「歯周疾患検診」の無料受診クーポンが届きます。
・受診回数
1回(4/1~翌年3/31の間)
・検診内容
1 歯の状況の確認(全ての歯を視診)
2 歯周組織の状況の確認(特定の歯の歯周ポケット:歯と歯肉の間の溝を測定)
3 検診結果に基づく保健指導
・費用
無料
※検診の結果、さらに詳細の検査(レントゲン・歯周検査等)や、虫歯の治療・歯石除去等をご希望の方はご案内可能ですが、有料(保険適用)となります。
・持ち物
「歯周疾患検診」受診クーポン、健康保険証
※お忘れの際は実費負担となりますので、必ずご持参ください。
名古屋市:歯周疾患検診(暮らしの情報)
「妊産婦歯科診査」
妊娠中は食生活が不規則になりやすく、ホルモンバランスの変化により、虫歯や歯周病が進行しやすい時期です。
妊産婦の時期を健康な歯で過ごしていただく為、また、ご自身と赤ちゃんの歯の健康にも関わる為、歯科検診を呼びかけています。
・対象者
名古屋市民の妊娠中の方、もしくは産後1年以内の方
・受診時期
妊婦歯科診査:妊娠中に1回
産婦歯科診査:産後1年以内に1回(お子様の1歳の誕生日の前日)
合計2回の受診が可能。
・検診内容
1 歯の状況の確認(全ての歯を視診)
2 歯周組織の状況の確認(特定の歯の歯周ポケット:歯と歯肉の間の溝を測定)
3 検診結果に基づく保健指導
・費用
無料
※検診の結果、さらに詳細の検査(レントゲン・歯周検査等)や、虫歯の治療・歯石除去等をご希望の方はご案内可能ですが、有料(保険適用)となります。
・持ち物
受診券(母子健康手帳・母と子のしおりに添付)、健康保険証
※お忘れの際は実費負担となりますので、必ずご持参ください。
名古屋市:ママと赤ちゃんのお口の健康づくり(暮らしの情報)
まとめ
今回紹介した2種類は対象者の方は無料ですので、「歯科健診」を受けるきかっけとして利用するのにおすすめです。
対象でない方でも、歯科健診は保険診療でいつでも受診可能です。今、症状が何もなくとも、状態が良ければ安心も得られますし、気をつけたり経過観察をするべき歯や部位があれば、把握することでこれからのケアでカバーできるかもしれません。
また、早期発見・早期治療で痛みが出るほど悪化する前に処置することが可能になります。
最後に1つ、ご紹介したいアンケート調査があります。
それはgooリサーチとプレジデント編集部の共同調査による、「人生の振り返り」に関するアンケート調査(※)です。
その中の健康部門にあたる【「リタイア前にやるべきだった・・・・・・」後悔トップ20健康】の第1位は、なんと「歯の定期検診を受ければよかった」という結果でした。
健康という大きな枠で考えた時に「歯」が1位に挙がったことが、私には意外に思われた為とても印象に残ったのです。
この調査は2012年の結果のため、少し前のものではありますが、その頃から歯に関する後悔を感じる人が多くいらっしゃったことが分かります。
歯は、詰め物やかぶせ物で治療はできても、自身の歯は二度と戻らないものです。
後から後悔する前に、今なら間に合うこと、今だからできることがあるかもしれません。
人生100年時代、できるだけ健康に過ごしたいのはどなたも願うことでしょう。
お口だけの問題ではなく将来の全身の健康のためにも、今、歯科健診を受けてみてはいかがでしょうか。
※2012年9月25日から27日まで実施。55~74歳の男女1060名の回答。
男女比は約7:3。
「リタイア前にやるべきだった……」後悔トップ20【2】健康 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会