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舌のケアの効果は口臭だけじゃなく健康寿命を延ばす!歯科医師が教える、生涯にわたって有効な正しい舌ケア方法
2024.2.08 歯と健康こんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の院長の坂本果歩です。
みなさんは「舌のケア」はされていますか?
「舌のケア」こそが健康寿命を伸ばすとも言われています。あの、健康長寿で有名な金さん、銀さんも「舌のケア」を行っていたそうです。
当院は訪問歯科を行っており、介護施設で口腔ケアを行っています。介護施設では誤嚥性肺炎や、インフルエンザ、コロナの感染をどうやって減らすことができるかと言うことが大切になってきます。
そこで富山県の介護施設で誤嚥性肺炎ゼロを達成したというセイダ式口腔ケアがあると聞いて、精田紀代美先生の講義、試験を受け口腔機能療法士という資格を取りました。セイダ式口腔ケアで一番大切なのはなんと「舌のケア」でした。
実際、「舌のケア」をすることで鼻から入ってきた、細菌が舌に落ち、それを綺麗に取ることでインフルエンザ、コロナなどの感染症の予防ができると言われています。
そして、歯周病菌は、歯周ポケットにもいますが、
舌のひだの中にも多くいるため、「舌のケア」をすることで歯周病細菌の量も減らせることがわかっています。
また、口腔内で最も細菌が多いのは舌の舌苔ですので、これを綺麗にすることで口腔内の細菌量を減らすことができ、誤嚥性肺炎も減らせることになります。
介護施設で大切なことは、私たち健康な人たちにも大切なことでこの「舌のケア」が感染対策になり、健康寿命に繋がることがわかっています。
朝、起きてまずすることは「舌のケア」です。
起きたときが1番細菌量が多いため、「舌のケア」をして、
朝ごはんを食べて歯磨きをすることがいいと言われています。
歯のケアはしていても、舌はしていないという方は多いのではないでしょうか。
ある調査によると、10〜60代男女の約8割が口臭を気にしているという結果がでています。
毎日丁寧に歯ブラシや、歯間ブラシなどを使って綺麗にしているのにも関わらず口臭が気になる場合は、舌が原因かもしれません。
本日は、生きる上でとても大切な舌のお話しをします。
舌の構造
舌は口の中にある筋肉でできている器官です。
筋肉を様々に動かすことで、食物を飲み込む際、言葉を話す際などに使われるため、消化器、運動器の働きを持つと言えます。
舌の役割
味覚(味を感じる)
口の中にある味を感じられるセンサーのほとんどは、舌の表面にあります。これは”味蕾(みらい)”と呼ばれていて、重要な味覚センサーとなっています。この味蕾のおかげで、味を感じ、おいしさを楽しむことができるのです。
舌の先 甘味、塩味
舌の奥 苦味
舌の縁 酸味
嚥下(飲み込む)
舌は口の中にある食べ物を、食道に送り込む働きをしています。
まずは舌で受け取り、温度や食べ物の食感などを瞬時に感じとってくれます。
また、口の中の食べ物を奥歯や歯と歯の間に運んで咀嚼を助けたり、食べ物と混ぜ合わせたりするのも舌の役割です。
発音を助ける
私たちが発している言葉にも、口唇と舌の存在がかかせません。私たちがだすいろいろな音には、主に口を使って発生する口唇型という音と、舌の役割が大きく関わる舌型の音とに分けられます。
母音であるア行は、舌も唇もほどほどに使うので別にすると
口唇型といえるのは、マ行とワ行
舌型といえるのは、カ行、サ行、タ行、ナ行、ヤ行、ラ行
中間型がハ行です。
歯並び
歯は、唇・頬・舌などの筋肉に囲まれています。そのため、歯並びは、舌が外側へ押し出す力、唇や頬が内側に押す力、上下の歯が噛み込む力が大きく影響します。舌の力が弱いと、唇や頬の力が強くなり、歯が内側へ押されてしまい歯並びが乱れてしまいます。
舌苔(ぜったい)
舌を鏡で見てみてください。舌の表面が黄色かったり白かったりしていませんか?舌には”舌苔”と呼ばれるコケのようなものが付いていることがあります。これは細菌やウイルスが舌表面に付着した物です。お口の中の60〜80%の細菌がこの舌苔に存在してるとも言われています。
少し前の研究では、コロナウイルスを活性化させ、細胞に侵入させやすくする物質が舌苔の中に存在していることがわかってきました。だからこそ舌のケアで舌苔を減らす必要があります。
舌苔を放置すると、、
口臭の原因になる
口臭の90%以上は口の中に原因があります。口臭の主成分は、口の中の細菌が含硫アミノ酸わ分解することにより発生するガスであり、揮発性硫黄化合物と呼ばれています。舌苔は、含硫アミノ酸を含む剥離上皮細胞に富むことから、揮発性硫黄化合物の主な発生原因となります。
味覚障害
味覚を感じる、味蕾が舌苔により機能しなくなり味覚障害になる恐れがあります。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食べ物などが何らかの理由で誤って気管支に侵入してしまって引き起こる肺炎です。舌苔は口腔内の細菌でできているため、除去てせずに放置すると細菌が気管支に侵入しやすく誤嚥性肺炎を引き起こすリスクがあります。
舌苔の主な原因
舌苔は誰にでも付着する要因はありますが、一定の条件によって付きやすい人がいます。
舌の組織の凹凸が大きい
舌表面の凹凸が深いと食べかすや、細菌などが溜まりやすくなります。
細菌の増殖
食べかすや上皮のかすのたんぱく質は、細菌のエサになります。細菌が増えると舌苔も増殖し、舌の表面に溜まってしまいます。
低位舌
普段口を閉じた状態での正しい舌の位置は舌先を上の前歯の付け根に置き、舌全体を吸盤のように上あごにくっつけるイメージです。舌全体が上あごに接していることで、上あごの粘膜との摩擦で歯の表面の汚れが自然と落ちます。しかし、舌の全体の位置が低い低位舌(ていいぜつ)になると、上あごに触れず舌苔が溜まりやすいのです。
唾液が少ない
唾液が少なく、口腔内が乾燥していると舌苔ができやすくなります。口が乾く原因は、水分不足や口呼吸、過度な喫煙、そしてストレスです。
「舌のケア」について
舌を歯ブラシで磨いてないですか?
歯を磨いた後にそのまま歯ブラシで舌を磨いていませんか?歯ブラシでゴシゴシと強く磨くのは危険です。舌は柔らかく、非常にデリケートなので強く磨くと舌がヒリヒリしたり、舌にある味蕾を傷つけることで味覚障害になる恐れがあります。
何を使って舌のケアをするかが大切です!!
タンクリーナー
こちらは当院で取り扱っている舌ブラシです。
ブラシが柔らかく安全なエラストマー樹脂で使い心地は抜群です。構造上弾力性があり、バネ効果で舌にかかる力をやわらげます。持ち手も、滑りにくく握りやすいハンドルになってます。寝たきりの方やお年寄りの方に第三者が使っても安全な構造になっています。
「舌のケア」はあまりやらない方がいいよ!って言われたことある方もいるとおもいます。その理由は一時期、「舌のケア」は大切と言われ、たくさんの人が「舌のケア」をするようになりましたが、実際使われていたタンクリーナーが硬いブラシのようなものが多く、舌を傷つけ、味覚障害が起きた方が多いからだそうです。
実際、きちんとしたタンクリーナーを使えばそういうことは起きません。
まとめ
このように舌は、味わう、食べる、話すといった人が幸せを感じるために欠かせない器官なのです。何か違和感や気になる点があれば早めの受診がおすすめです。
舌は生きる楽しみに密接に結びついています。
「舌のケア」を継続して行うと、味がより美味しく感じられるようになったという方もいるそうです。
毎日一回の簡単な「舌のケア」で健康寿命が伸ばせるならやってみるしかないですよね。
自分でもチェックしやすい器官ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会