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28本の永久歯が持つそれぞれの大事な役割から分かる、1本の歯も欠かせない理由
2024.9.03 歯と健康それぞれの歯が持つ大事な役割について
こんにちは。デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の井尾です。
名古屋市は毎日35℃越えが続いて、すでに干からびそうになっています(笑)皆さまもしっかり水分補給して熱中症には気をつけて下さいね。
さて本日は、歯それぞれの役割と、なくなってしまうと起こるトラブルについてお話しします。
大人の歯は通常全部で28本あります。(親知らずや過剰歯などは含みません)それぞれ大きさや形が違うのがお分かりいただけると思います。それぞれにしっかりと役割があるのはご存知ですか?
歯はたった1本なくなるだけで正常な働きができません。例えば奥歯が1本なくなっただけで、ものを噛み砕く能率はなんと約40%も低下するといわれています。
歯の種類と役割
歯の種類は大きく4種類に分けられます。
①切歯(せっし)
黄色の部分が切歯です。上下左右で合計8本あります。口元の中心にあるため、顔の印象を左右する歯になります。歯の先がノミ、あるいはシャベルのように平たく尖っています。
切歯の主な役割は、名前の通り食べ物を切り裂くことです。食べ物を口に入れた際、切歯の鋭いエッジが食べ物を効果的に切断します。この切断作用によって食べ物は小さなかたまりになり、咬合する他の歯でさらに細かくされます。
切歯がなくなったり、歯並びがこのように奥歯だけが当たっていて前歯が噛んでいない(開咬)と麺類など噛みきれません。口に含んで奥歯で噛み切って食べることしかできなくなります。
②犬歯(けんし)
緑色の部分が犬歯です。上下左右で4本あり、よく「糸切り歯」とも呼ばれている歯です。犬歯は尖った円錐形の形状が特徴です。犬歯にはいくつかの役割があります。まず、食べ物を噛むための主要な歯としての役割があり、お肉や、硬い食べ物を噛み切ることに適しています。28本のなかで最も歯の根っこが長く、歯の中では1番長持ちし、強い構造になっています。
犬歯より奥にある歯は縦方向の力には強いですが、ぎりぎりと歯ぎしりのような左右に揺さぶられる力には弱い特徴があり、犬歯はその力が直接伝わらないように顎を左右に動かすと犬歯だけが噛み合い、奥歯を守るといった大切な役割も担っています。(※歯並びによっては犬歯が当たらないこともあります。その場合は奥歯に負担がかかっている噛み合わせです)
そして前歯(①切歯②犬歯)がなくなってしまうと、サ・タ・ナ・ラ行の発音に悪影響がでると言われています。
③小臼歯(しょうきゅうし)
青色の部分が小臼歯です。上下左右で8本あります。小さな臼の歯と書くように切歯や犬歯より厚くできています。主な役割は、食べ物を咀嚼し粉砕することです。小臼歯は、頑丈な構造と多数の尖った突起を持っていて食べ物をしっかりと噛む力があります。食べ物を咀嚼することによって、食べ物の表面積を増やし、消化酵素が作用しやすくする助けとなります。
また小臼歯には上下の噛み合わせを作る為に大切な役割があります。噛み合わせが適切でないと、バランスが崩れるため、噛む力が均等に分散されない可能性があり、他の歯への負担がかかることもあります。もし小臼歯がなくなったら、上下の顎の位置が決まりにくくなるので、噛み合わせが不安定になります。噛み合わせが不安定になると顎の関節にも影響が出てくることがあります。
④大臼歯(だいきゅうし)
ピンク色の部分が大臼歯です。上下左右で8本あります。歯の中で大きくて臼のような形をしていて、噛む力がとても強い歯です。最も大事にして欲しいのが第一大臼歯です。奥から2番目の4本を指します。大人の歯(永久歯)の中で1番はじめに生えてくる歯です。矯正治療では、この歯を基準に噛み合わせのズレやどのように歯並びを治していくべきかを考えていきます。
固いものを噛んですりつぶし消化を助ける働きをしています。
第一大臼歯を失うと咀嚼率が2/3以下になってしまうと言われており、生涯を通して私たちの食を支える歯と言えます。意識的に噛み締めた時には最大60キロの力で噛めるところ、第一大臼歯がなくなって入れ歯になると最大16キロの力になるということです。咀嚼効率が下がるので胃腸に負担がかかったり、肩こり・腰痛を引き起こしたりと身体の不調が起こりやすくもなってしまいます。
このように第一大臼歯はとても重要なのですが、次のようなことから虫歯になりやすいため注意が必要です。
- 奥歯なので細かな部分の歯磨きが難しい
- 噛む面の溝が複雑で噛み合わせも複雑
- 1番に生えてくる(6歳前後)大人の歯で生え始めは自己管理が難しい
と様々な理由があります。
そして奥歯(③小臼歯④大臼歯)は食べ物を噛むだけでなく、発音のためにも重要な役割を果たします。奥歯を失うことで息が漏れ、ラ行やイ段の音(き、し、ち…など)をうまく発言でき
なくなるといわれています。
まとめ
このように歯それぞれには食事だけではなく、とても大事な役割があります。歯一本でもなくなってしまうと周りの歯の負担を増やしてしまうことになり、周りの歯も悪くしてしまう負のスパイラルが生まれます。一本だから大丈夫と思わず、28本全ての歯を大切にしていきましょう。9本以上歯を無くなったままにしている人は、転倒するリスクが高まることも知られています。よろめいた時にしっかりと噛みしめられる人の方が短時間で元の姿勢に戻ることができると分かってきています。
歯を失う主な原因は歯周病と虫歯です。歯周病は虫歯のように痛みなくじわじわと進行していきます。自覚症状が出た時には手遅れの場合が多いので、何も症状がなくても定期検診に行くことをおすすめします。
デュランタデンタルクリニックでは歯周病予防、治療にも力を入れています。気軽にご相談ください。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会