インプラントにも歯周病がある!【インプラント周囲炎】の症状・進行の流れ・予防のポイントを知ってインプラントを長く使い続けよう
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歯周病の発症・進行リスクが急上昇する【喫煙】!口腔がんのリスク・インプラントの成功率にも関与する、タバコとお口の見逃せない関係
2024.6.04 歯周病・予防治療こんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の國竹です。
タバコが体に悪影響を及ぼすことは、誰もが知っていることです。
しかし、それが口の中にまで影響を与えることをみなさんはご存知ですか?
喫煙は歯周病のリスクを引き上げることがわかっています。
タバコを吸うと歯が黄色くなる、ニオイがきついなどのイメージはあっても歯周病と関係があることを知る人は少ないと思います。
本日は喫煙と歯周病の関係性についてお話ししていきます。
喫煙と歯周病
タバコの煙に含まれている成分は、口のなかで直接粘膜や歯茎から吸収されます。
吸収された有害物質によって、血管収縮がおこり歯茎の中の血流が悪くなります。
このように血液循環が悪くなると、歯茎に十分な酸素が届かず歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなります。
つまり、喫煙は歯周病の発症や進行に大きく関わっているということです。
喫煙者の歯周病の特徴
喫煙者の歯周病の特徴として、以下の症状が現れます。
- 歯肉の腫れが少ない
- ブラッシング時の出血が少ない
比較的自分で気づきやすい症状が現れにくいために、自分で歯周病の自覚がなくその結果重度の歯周病に進行するというわけです。
歯周病のリスク原因となる成分
1 ニコチン
ニコチンはタバコへの依存性を高める物質で、やめようと思ってもなかなかやめられないのはこれが原因です。ニコチンには血管収縮作用があります。それらが組織の血流を悪くし十分な栄養や酸素を供給できなくなります。
身体の免疫機能にも悪影響なので、病気に対する抵抗力が弱まりアレルギーがでやすくなります。
また、ニコチンは歯の表面に付着し歯の黄ばみの原因にもなります。
2 一酸化炭素
一酸化炭素は、歯肉の組織に酸素を供給することを阻害します。
そのため、歯肉の血管が細くなり組織が破壊され歯周病の状態が悪化しやすい状態になってしまいます。
3 タール
タバコの煙成分の中で一酸化炭素やガス状の物質を抜いた粒子状の成分のことをタールといい、歯の黄ばみの原因になります。
タバコで黄ばむといえば、ヤニという言葉を連想する人も多いでしょう。まさにタールはヤニに当たります。
タバコを大量に吸う部屋では壁が黄色っぽくなりますが、これもヤニによる影響で、歯でも同じ現象が起こっています。
ヤニが付着すると黄ばむだけではなく、歯の表面がザラザラになり歯垢が付着しやすい環境になってしまいます。
喫煙と口腔がん
喫煙者は歯周病だけでなく、口腔がんになるリスクが非喫煙者と比べると数倍高いとされています。
タバコに含まれる有害物質が口の中の細胞を変性させ、がん化を促進してしまうからです。
口腔がんの発生しやすい部位
・舌 ・上下の歯肉
・口蓋 ・頬粘膜
・口底
喫煙とインプラント
喫煙者はインプラント治療の成功率にも悪影響を及ぼします。
タバコに含まれる有害物質の影響でインプラントがうまく定着せずに抜け落ちるリスクが高まります。また、喫煙者はタバコに含まれるニコチンにより、免疫機能が低下しインプラント周囲の炎症や感染を起こしやすくなります。
受動喫煙
もう一つ注意すべきことは、受動喫煙です。
ご自身ではタバコを吸っていなくても周りの喫煙の影響を受けることで、受動喫煙でも歯周病への影響が報告されています。
タバコを吸うと歯茎の色が変わる?
健康な歯茎は歯茎の中の毛細血管が透けていることによって薄いピンク色をしています。しかし、長年喫煙を続けていると歯茎が黒ずんできてしまいます。
通常メラニン色素はビタミンCによって抑制されていますが、タバコを吸うことでビタミンCが大量に消費されてしまいます。
その結果メラニンの色素が増え、歯茎や唇の色が黒くなっていくのです。
またもう一つの原因としては、タバコに含まれる有害物質の一酸化炭素によって歯茎の中が酸欠状態になり、ニコチンで毛細血管が収縮することで血流が悪くなり歯茎が黒ずんで見えてしまいます。
これらのことは、受動喫煙でも同じことがおこるとされています。
黒ずんだ歯茎は元に戻らない?
前項で喫煙者は歯茎の色が変わってしまうとお話ししましたが、喫煙や受動喫煙によって黒ずんでしまった歯茎も元のピンク色に戻す治療法として【ガムピーリング】というものがあります。
歯茎に沈着した色素を、薬やレーザーなどで取り除く治療法です。
①ガムピーリングの種類
・レーザー除去法
・外科的除去法
・薬剤除去法
②こんな方にオススメ
・喫煙者、家族に喫煙者がいる方
・日焼けなどで歯茎が黒くなった方
・ホワイトニングを受けて歯と比べて歯茎の色が気になる方
・口呼吸により歯茎が黒ずんでしまった方
③禁忌
ガムピーリングに用いるフェノールやアルコールなどの薬剤アレルギーをお持ちの方は受けていただくことができません。
歯周病や歯肉炎で歯茎に炎症がある方も、歯周病治療を行い、歯茎の状態をよくしてからでないと受けていただくことができません。
ガムピーリングのメリットとデメリット
メリット
・痛みが少ない
術中に痛みがある際は表面麻酔をして受けていただくことも可能です。
術後も数日ヒリヒリ感は出ることもありますが痛み止めの服用なく改善するのが一般的です。
・即効性が高い
・回復が早い
術後2週間程度で自然な色に回復します
・安全性が高い
デメリット
・施術後の違和感
薬剤の影響で数日ヒリヒリした感じが残ることもありますが、徐々に回復します。
・アレルギー既往がある方はお受けできません
・メタルタトゥーには不適応
金属の被せ物による歯茎への着色はガムピーリングでは除去しきれません。
・術後の歯肉退縮
歯茎の付着が少ない場所に薬剤が作用してしまうと歯肉退縮が起きることがあります。
喫煙の影響を軽減する対策
長年タバコを吸ってきたから今更改善なんてしないだろう、、、
なかなか禁煙できない、、、
と思われるかもしれません。しかし禁煙をすることで歯肉の状態が改善していくことが期待できます。
禁煙:喫煙がお口に悪影響を及ぼすのを防ぐために、1番良い方法はやはり禁煙です。最初からゼロにするのは難しいのでまずは1日のたばこの本数を減らすことから始めてみましょう。
定期的な歯科検診:喫煙者のかたは定期的に歯科受診を受け、早期発見・早期治療が歯周病や口腔がんの進行を抑える鍵となります。
3ヶ月に一度を目安に歯科検診を受診しましょう。
セルフケア:歯科医院で受けるプロフェッショナルケアももちろん重要ですが、私たちがお口の中をみれるのは歯科検診の時だけです。
毎日の歯ブラシ、フロス、舌ブラシなどのセルフケアをより一層丁寧にすることを心がけましょう。
まとめ
歯周病は自覚症状がないサイレントディジーズ(静かなる病気)と言われています。
国民の約8割がかかっているとされている感染症です。
自身の歯を失わなくて済むように、定期的に歯科検診を受けましょう。
また今回お話しした、喫煙と歯周病は密接な関係にあります。
喫煙習慣はまさに「百害あって一利なし」です。身体の健康はもちろん、お口の健康のためにも禁煙することをお勧めします。
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科では、患者様一人一人に寄り添い安心して歯科治療を受けていただけるよう心がけています。
心配な方はお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会