歯科衛生士が紹介!虫歯菌の「酸」に負けない、強くて丈夫な【歯】をつくるために摂りたい栄養素と食材ガイド
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妊婦さんはお口の中も変化がたくさん!トラブルの特徴とケアのポイントを知って、お口の健康維持を目指そう
2024.1.29 歯と健康こんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科です。
2024.1.4より医院名が【デュランタデンタルクリニック】から【デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科】に変更いたしました。
名称以外、変更点はございません。
歯科衛生士の井尾です。
先日、期間限定のバレンタインイベントの松坂屋で行われている「ショコラプロムナード2024」にスイーツ好きのスタッフさんと仕事終わりに行ってきました。甘いものには疎いので初めて参加しましたがどれもこれもまず見た目が可愛くてキラキラしてて美味しそうでした。
一緒に行ったスタッフさんはもともと甘いものが好きなので何個も買っていました。
そのスタッフさんは今妊娠中です。
妊婦中だと、甘いものが無性に食べたくなったり、食欲が旺盛になったりするそうです。
妊婦さんは、食の好みや食べ方などが変化したり、ホルモンバランスの関係やつわりなどの影響でお口の中のトラブルが起きやすいです!本日は、そんな妊婦さんとお口の中についてのお話しをさせてもらいます!
妊娠による口腔内のトラブルと変化
①虫歯と歯周病
妊娠すると嘔吐を伴う”つわり”によって口腔清掃の質が低下します。そして嘔吐をした際には、胃酸が逆流して口の中に入ると胃酸が歯の表面を溶かします。これも虫歯の原因となります。
また、妊娠中は唾液の分泌量や質が変わることもあります。「0.6%の唾液中の成分がもたらす、口腔内に不可欠な役割とは?唾液のおどろくべき働きを紹介」でもお伝えしましたが、唾液には口腔内を洗浄したり、酸を中和したりと虫歯菌や歯周病菌の活動を抑える働きがあります。
このため唾液が減少したり、質が変わると虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。
そしてはじめにお伝えしたように、妊娠中は赤ちゃんの成長に伴って、体内のホルモンバランスが大きく変化していきます。特に女性ホルモンが増加します。
詳しくは、妊娠24週以降は女性ホルモンであるエストロゲンは正常時の約300倍、プロゲステロン(排卵直後から分泌量が増える、妊娠の準備のためのホルモンとも言えます。体温を上げたり、食欲を増進させる作用があるほか、体に水分や栄養を溜め込みやすくします。)は約10倍に上昇します。
女性ホルモンは、歯周病菌であるプレボテラ菌を増殖させます。プレボテラ菌は、歯と歯ぐきの間に溜まった歯垢(プラーク)から酸を作り出します。それにより炎症がおきやすくなり、歯周病の進行リスクも高まります。
プロゲステロンは、歯ぐきの血管に作用して炎症反応を拡大させるという特徴があります。歯ぐきの周りに歯垢(プラーク)がついた状態が続くと歯ぐきが腫れやすくなるのは、プロゲステロンによるものです。
さらに妊娠中は、食べ物の好みが変化したり、間食をしたくなることもあります。それにより、歯垢の増加がおき口腔内が酸性環境に傾き、歯は弱り、虫歯が進行しやすくなります。
そして妊娠中の歯周病は、母胎だけでなく胎児にも影響を与えることがあります。歯周病菌やその毒素が血液に入って胎盤に達すると、早産や低体重児のリスクが高まります。歯周病にかかっている人は普通のお産をした人に比べてなんと7倍も早産や低体重児のリスクがあるそうです。
②妊娠性エプーリス
妊娠性のエプーリスとは女性ホルモンによって、赤い腫れや痛み、出血を伴う歯ぐきにできる良性の腫瘍です。妊娠初期から中期にかけて多く発症し、出産後に自然消失する可能性が多いです。妊娠性エプーリスは特別な治療は必要ありませんが、できた部分は歯ブラシが当てづらく、汚れが溜まりやすくなって虫歯や歯周病を発症する恐れがあります。
③口内炎
口内炎の原因は様々ですが、妊娠中は免疫の低下やストレスなどにより、口内炎ができると考えられています。免疫力が低下すると、口腔内に常在する細菌やウイルスに対抗できなくなり、粘膜にダメージを与えて口内炎を引き起こします。
④妊娠性の歯痛
ホルモンバランスの変化や血液量の増加などによって、虫歯ではない健康な歯が痛む症状です。特に妊娠初期から中期にかけて起こりやすく、強い痛みがあります。ですがこの痛みは一時的なもので、通常は妊娠5〜6ヵ月ごろに自然と治ってきます。
トラブルへの対策
つわりの時の歯磨き対策
歯磨き粉を匂いや刺激の少ないものに変えてみる
歯磨き粉をつけずに磨く
歯ブラシをヘッドの小さいものにする
歯ブラシが難しければ歯間ブラシやフロスを使う
顔を下に向けて喉に唾液が溜まらないようにする
無理せず体調の良い時間に歯磨きをする
うがいの回数を増やす
デンタルリンスを使用する
歯に良いキシリトール配合のガムや歯磨きタブレットを利用する(唾液の分泌量が増えます!)
食生活、生活習慣の改善
バランスよく栄養を摂取し、糖分や酸味の強い食べ物や飲み物は虫歯の原因となるので控えめにしましょう。
お腹が大きくなると一度にたくさん食べられなくなって何度も食事をするかもしれません。その場合は食後によくゆすぐなどしましょう(歯垢はゆすぐだけでは落ちません×)
妊娠中には限らず、歯の再石灰化を促す栄養素であるカルシウムやリンをとることもおすすめです。
生活習慣では、十分な睡眠や適度な運動、ストレスの解消がポイントとなります。免疫力を高め、血行を良くすることでお口の中の回復力が向上します。
まとめ
今回は、妊婦さんに起こる様々なお口の中のトラブルについて解説してきました。
妊娠中は治療できるタイミングや、治療方法も限られるため日頃からの予防が大切です。定期的に歯科検診を受けてトラブルを未然に防ぎましょう!
万が一妊娠中で歯の痛みが出た場合、治療は時期によって行うことは可能なのでご相談下さい。
名古屋市では、妊娠中に1回と出産後1年以内の計2回、歯科検診を無料で受けることができます。
デュランタデンタルクリニックでも、妊産婦検診を行っています。まずはお口の中の状態を知っていただき、その後治療が必要であればお母さんの無理のない範囲、ペースで進めていくことをおすすめさせていただきます。歯科医師や歯科衛生士にお気軽にご相談ください。
(※妊産婦検診のみでしたら料金はかかりませんが、詳しい検査や歯石を取ったり、虫歯の治療をご希望の方は別途治療費が発生いたします。)
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会