痛くない虫歯もある!虫歯の【5つのステージ】を徹底解説~それぞれの痛み・治療法の違い~
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補綴治療の基本と選択肢ガイド〜虫歯になった歯の寿命を長く保つ方法とは?今ある歯にとって良い治療とは?
2024.6.13 歯科治療こんにちは、デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の國竹です。
みなさんは「補綴(ほてつ)」という言葉を聞いたことはありますか?
補綴とは、歯に詰める物(インレー)、被せ物(クラウン)、ブリッジ、部分入れ歯、総入れ歯、インプラントなどの総称です。
本日は補綴物についてお話ししていこうと思います。
補綴治療とは?
「補綴(ほてつ)治療」とは、歯が欠けたり失ったりした場合に人工的に歯を補うために行う治療です。歯を失うと口元の審美(見た目)や咀嚼、発音といった日常生活に必要な機能が妨げられ、QOL(Quality of life:生活の質)が著しく損なわれます。
補綴治療を行うことで、審美、咀嚼、発音といった機能が回復し生活の質の維持・向上につながります。
補綴治療の種類
①クラウン(冠)
歯冠(歯の頭)が大きく失われたケースに行う治療です。
歯冠がなくなってしまったところに土台をたてクラウンを被せることで、歯の機能と形態を回復させることができます。
②インレーとアンレー
インレーとアンレーはクラウンと比べて歯の失われた部分が小さい場合に行われる治療です。
③ブリッジ
歯が虫歯や歯周病などいずれかの疾患により失われた場合に、失われた歯の隣の歯を土台として、3本分のクラウンの治療を行う方法です。
ですから、失われた歯の部分にはダミーの人工歯が入ることになります。
歯の機能を回復させることはできますが、両隣の健康な歯を削らないといけないというデメリットがあります。またブリッジの構造上、2本の土台の歯で3本分の役割を果たすことになるため土台の歯にかなりの負担がかかります。もちろん隣の歯が既にない場合や歯があったとしても土台として不十分だと判断された場合はブリッジを作ることが不可能になる場合もあります。
④デンチャー(入れ歯)
歯を失った場合に、取り外しのできる人工歯をはめる治療です。
部分てきに歯を失った場合は部分入れ歯、歯が一本も残っていない場合は総入れ歯になります。部分入れ歯の場合は入れ歯を支えるバネがかかりますが、保険の入れ歯の場合はバネが金属になるのでそこが目立ってしまいます。金属を使わず入れ歯のバネが目立たないノンクラスプデンチャー(自由治療)も選択肢としてあります。
部分入れ歯はブリッジと比べ両隣の健康な歯を削る量はかなり少なくはなりますが、入れ歯はかなり大きいのでその分噛みにくさを感じたり、違和感を感じるため慣れるのにかなりの時間がかかります。
総入れ歯は、歯茎に吸盤がくっつくようにして固定されます。お口の中に合わない場合は痛みを感じるほか、外れやすい、下顎の入れ歯は動きやすいといった問題などがあります。
また総入れ歯を製作しても生まれ持った歯と比べると咀嚼力が20〜30%ほどのため、硬いものが食べづらいということもあります。
インプラント
インプラントは歯が失われてしまったところに人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を被せ機能と形態を回復させる治療法です。
インプラントはブリッジや入れ歯と比べ両隣の天然歯を削る必要がありません。
また違和感を感じることもなく自分の歯のように噛むことができます。インプラントを入れた後もしっかりメンテナンスしていただければ生涯そのインプラントで噛むことができます。
デメリットとしては、手術が必要でインプラントと骨がくっつくまで時間がかかるので、長い場合は噛めるようになるまで約6ヶ月程度かかることがあります。またインプラントもメンテナンスを怠ると歯と同じように歯周病(インプラント周囲炎)になることがあります。
補綴治療の適応症例
・虫歯による損傷
虫歯によって、歯が失われた箇所は範囲が小さい場合はインレーやアンレーによる処置が行われますが、虫歯が進行して神経を取る治療が必要になった場合や歯の大部分が失われた場合はクラウンが適用となります。
・歯の欠損
歯が失われてしまった箇所には、ブリッジ、入れ歯、インプラントの3つから治療方法を選択します。
・外傷による歯の損傷
外傷の多い場所は前歯です。外傷により欠けてしまった範囲によりますが大きく欠けてしまった場合にはクラウンが適用になります。
・審美的な修復
審美的な治療の代表はセラミックやジルコニアによるクラウンになります。特に前歯はよく見える場所で色合いが少し違うだけでも違和感が出ます。
見た目を重視する場合は、ご自身の歯に馴染むように色を選びクラウンを作成していきます。
保険治療と自費治療の違い
補綴の種類の中で保険診療で使える素材と自由診療で使える素材が出てきたと思いますが補綴治療には保険及び自由診療の分類があります。
保険診療では銀歯やハイブリッドセラミック(CAD/CAM冠)が主に使用されます。
自由診療ではセラミック・ジルコニア・ゴールドなどが使用されています。
では保険診療と自由診療の違いはなんでしょうか?
それは歯の寿命を長く保つための「治療の質」です。
保険診療で使用している型取りの素材は、時間の経過や温度変化によって変形したりちぎれてしまう為、それほど精度の高い被せ物にはなりません。
製作した被せ物と歯の間にも隙間や段差が生じてしまい虫歯が再発してしまう可能性が高くなります。被せ物を入れる際に保険診療で使用する接着剤も経年によって溶けてしまうことがあるので被せ物が取れてしまったり、接着剤が取れた部分から細菌が入って被せ物の下で虫歯になってしまいます。また保険診療では銀歯を使用することで金属アレルギーの原因になることも問題視されています。
一方自由診療で使用する型取りの素材は変形しにくくちぎれにくいシリコンを使用しています。ご自身の歯の色味に合わせて被せ物の色を選んでいくので非常に馴染みがよく精度の高い被せ物を作ることができます。
自由診療で使用する接着剤は接着性・耐久性ともに高いものを使用するため再治療の可能性が低く、治療後の歯をより長くきれいな状態で保てる可能性が高まります。
今ある歯を長持ちさせるには?
前項で保険診療と自由診療の違いについて説明しましたが、「結局、歯のことを考えるとどっちがいいの?」と思われるでしょう。
歯が虫歯になり、削って治療したところは元に戻ることがありません。歯の治療は何度でもできるわけではないので、歯を残すために重要なことは歯の再治療を防ぐことです。保険と自費との治療費の違いはありますが、虫歯が再発しにくいといった点や、見た目など長い目で見ると自費の補綴を行う方がいいということも考えられます。
保険診療のハイブリットセラミック(CAD/CAM)
メリット ・保険内で治療できる
デメリット ・ハイブリットセラミックのブロッ
クから削るので精密な被せ物は
難しい
・色が決まっているので周りの歯と
馴染みにくい
・噛み合わせによっては割れやすい
・プラスチックの素材なので歯垢が
つきやすい
自費診療のセラミック
メリット ・再治療の可能性が少ない
・色を周りに歯の色に合わせられる為
非常に馴染みがよく審美性が良い
・ある程度の強度がある
・陶器と同じなので変色しづらく歯垢
がつきにくい
デメリット ・保険が効かないので自費になる
※デュランタデンタルクリニックではセラミックの被せ物には3年間の保証をつけています。装着してから3年間の間で割れたりした場合は無料で作り直しが可能です。
またいくら精度の良い被せ物を作ったとしても、歯茎から出血があったり腫れていたりすると型取りの地点で精密なものは出来ません。
まずは歯周治療をしっかり行なって歯茎を健康な状態にすることがとても大切です。
まとめ
歯がなくなってしまったところは元には戻らないので、その後の治療の選択がとても重要になってくると思います。デュランタデンタルクリニックでは、治療に入る前に補綴を入れなければいけないところや材質について担当の歯科医師・歯科衛生士がご説明いたします。また精密な被せ物を入れるために、まずは歯周病の検査を行い歯周治療が必要かどうか判断し今後のお口の健康のために歯茎の状態をよくしていきたいと思っています。現状で歯がない箇所や、欠けてしまった、詰め物が取れてしまったなどの自覚症状がある方はお気軽に当院にお問い合わせください。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会