2人に1人が経験している顎関節症を、症状・原因・セルフケア・治療法まで解説!心当たりがあれば歯科に相談へ行こう。
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冷たい食べ物で歯がしみる!夏のお悩みNo. 1【知覚過敏】を歯科衛生士が解説
2024.7.01 歯と健康こんにちは。デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の歯科衛生士の國竹です。
外も暑さが増してきてアイスクリームや冷たい飲み物が美味しく感じる時期になってきましたね。今回はそんな時に皆さんを悩ませる知覚過敏についてお話ししていきます。皆さんも冷たいものを飲んだ時や食べた時、歯磨きをしている時に歯がしみた経験はありませんか?もしかしたらそれは「知覚過敏」かもしれません。
歯がしみると「虫歯かも?」と心配されて来院されることがあります。もちろん虫歯が進行すると冷たいものや熱いものが染みる症状がありますが虫歯は治療をすることでしみることはなくなります。それに比べて厄介なのが知覚過敏です。知覚過敏症は誰にでも起こりうる歯のトラブルです。今回はそんな知覚過敏についてお話ししていきます。
知覚過敏とは?
知覚過敏の正式名称は「象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう)」です。
象牙質知覚過敏症とは冷たいものや酸っぱいものを飲食したときや歯を磨いた時、風が歯に当たった刺激などで歯がしみたり、ズキッとした一過性の痛みを感じようになることをいいます。
20歳から50歳までの人が最も多く知覚過敏症を患っています。
知覚過敏のメカニズム
歯茎が下がることによって歯の根っこが露出すると、象牙質がむき出しになってしまいます。象牙質のなかには無数の管があり、歯の中心である神経に向かって伸びているのが特徴です。エナメル質がすり減った状態で象牙質に外部からの刺激が加わると、象牙質内の管を通って神経にまでその刺激が加わってしまうのです。
知覚過敏の原因
(1)歯肉の退縮
歯肉の位置は加齢とともに少しずつ下がってきます。それに伴って歯の根っこが露出し象牙質がむき出しの状態になります。歯肉が下がる原因は他にも次のようなことが関係していると考えられます。
・歯周病
歯茎が下がる主な原因は歯周病によるものです。
歯周病が進行して症状がひどくなると歯茎が退縮し、歯を支える骨が溶けてしまい最終的には歯が抜けてしまうこともあります。
・不適切なブラッシング
毎日の歯磨きは非常に重要ですが、不適切なブラッシングによって知覚過敏を引き起こすことがあります。あまりにも力を入れて強くゴシゴシ磨いたり、研磨剤配合の歯磨き粉を使うことで歯肉を傷つけてしまいそれが原因で歯肉が下がってしまうことがあるので注意が必要です。
・歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりによって、日常的に強い力が歯に加わると歯が揺さぶられるため、少しづつ歯茎が下がってしまいます。
(2)歯がすり減ることによる象牙質露出
歯は使っていれば少しづつですがすり減っていきます。また歯ぎしりや食いしばりが原因でエナメル質がなくなってしまい歯の象牙質が露出してしまいます。
(3)酸性の高い食品
酸性度の高い食べ物や飲み物を過度に摂取していると、お口の中が酸性に傾き歯が溶けて知覚過敏を引き起こす可能性があります。
私たちの日頃口にする食べ物や飲み物の多くは酸性です。こうした酸性の食品を全てやめるということは不可能ですが炭酸飲料を長時間摂取するような習慣や、酸っぱい飲み物や食べ物を頻繁にかつ長時間摂取するような習慣があると歯は簡単に溶けていってしまい象牙質が露出してしまいます。
(4)むし歯の治療に伴う知覚過敏
むし歯の治療をした後、その歯に知覚過敏の症状が起きることもあります。歯を削るという治療そのもので、歯の神経が敏感になり痛みやしみを感じやすくなってしまうこともあります。しばらく経過をみて知覚過敏がなくなる場合もありますが、神経を取り除く治療が必要な場合もあります。
(5)ホワイトニングに伴う知覚過敏
歯科医院で実施するホワイトニングには過酸化水素が含まれています。ホワイトニング治療によって一時的に軽度の知覚過敏が起こることがあります。
そのような症状が出ても一般的には24時間ほどで徐々に治っていくことがほとんどです。
治療法
(1)コーティング
知覚過敏は露出されている象牙質への刺激でおこるものです。そのため露出した象牙質を薬剤でコーティングして、外部からの刺激を受けにくくします。
コーティングは永遠と効果を発揮するものではなく数ヶ月したら剥がれてしまうため、定期的な処置が必要になります。
(2)プラスチックレジンによる充填
象牙質が露出している部分を歯科用プラスチックで覆うようにして充填します。
充填するためには多少歯を削る必要があります。また歯と同じような色調のプラスチックを使用するので審美性に優れています。
しかし経年劣化するため、剥がれてしまったりプラスチックの部分が変色してしまったりするリスクがあります。
(3)マウスピースを作製する
おもに歯ぎしりや食いしばりが原因で知覚過敏症状を発症している方に用います。
このような歯ぎしりや食いしばりのような歯同士に圧力をかけるような癖は象牙質を守るエナメル質を削ってしまうため、その保護のためにマウスピースを装着して歯を守ります。
(4)歯周病治療をする
歯周病の進行による歯茎の退縮が見られると、歯の根っこの部分の象牙質が露出し知覚過敏が起きやすくなるため、その悪化を防ぐための治療を行います。
(5)歯の神経を抜く
知覚過敏は一過性の痛みですが、痛みが比較的長く続く場合や非常に強い痛みを感じる場合は神経が直接炎症を起こしている可能性もあります。
また知覚過敏の症状が強すぎる場合、神経ごと取り除く必要があります。
歯の神経をとってしまうと栄養分が行き渡らなくなり、歯は弱く、脆くなってしまいます。できれば歯の神経は温存されるのが良いですが、日常生活に支障が出る場合などは神経を取る治療を行います。
知覚過敏の予防法
⭐️セルフケア
正しい方法でブラッシングを行う。
・力を入れずに優しい力で磨く
・歯ブラシを大きく動かさず小刻みに動かす
・歯肉退縮によって歯の根っこが露出している部分は汚れがつきやすいのでしっかりと磨く
・知覚過敏予防の歯磨き粉を使用する
➡︎知覚過敏用の歯磨き粉には硝酸カリウム、乳酸アルミニウムという成分が含まれておりこれらが露出した象牙質をカバーすることで知覚過敏の症状を和らげてくれる効果があります。継続的な使用により効果が発揮されるものとなります。
⭐️プロフェッショナルケア
定期的なメンテナンスをうけ歯肉退縮が起こらないように予防していきましょう。
すでに知覚過敏の症状がある方は早めに歯科医院に相談し、適切な処置と治療を受けましょう。
まとめ
歯医者で働いていて意外にも知覚過敏で悩んでいる方は多いなという印象を受けます。ここまで知覚過敏のお話をさせていただきましたが、歯が染みる原因は知覚過敏だけでなく、虫歯や歯周病など様々です。
知覚過敏でも原因は患者様それぞれ異なりますので、症状のある方はご相談ください。
この記事の監修者
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科
院長坂本 果歩
地元の大分県の大分県立大分上野ヶ丘高等学校卒業後、
愛知学院大学歯学部歯学科に進学、卒業しました。
その後、愛知学院大学附属病院での研修を経て、愛知県内の地域密着型の医院、都心型の医院で勤務することによりたくさんの治療のスキルを学びました。
歯周病治療に力をいれた、再治療の少ない治療を目指して口腔外科、インプラント、矯正などの幅広い診療も行っています。
学歴・経歴
2016年 愛知学院大学歯学部歯学科 卒業
2017年-2018年 愛知学院大学附属病院 勤務
2018年-2023年 愛知県内 歯科医院 勤務
2021年-2022年 藤田医科大学 口腔外科 研究生
2022年 名古屋市 歯科医院 分院長
2023年 デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科開業
現在に至る
所属団体
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
愛知インプラントインスティチュート
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会